相続とはどのようなものでしょう?

人は生きている間に財産を築きます。その人が死亡すると故人が作った財産を有効に利用するのが故人の遺志に適います。そこで法律は、故人の遺志の尊重という配慮から「相続」という制度を作りました。

相続できる人・物・時期

相続できる人・できない人

「法定相続人」といわれる人が相続を受けられることになります。つまり、配偶者、子や孫、父母、祖父母等が該当します。

相続できない人

「相続欠格者」といわれる人が相続を受けられません。例えば、被相続人(故人)や相続人(相続を受ける人)を殺害した人、また遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿(隠すこと)した者は相続を受けられません。

尚、判例(過去の裁判の例のこと)では、遺言書を破棄・隠匿しても「不当な利益目的がなかった」場合には相続欠格者にはあたらないと判断しています。 

相続できる物

(1)債権

例えば、被相続人が誰かにお金を貸していれば返してもらう権利も相続されます。しかし、年金・死亡退職金等は相続できません。

(2)債務

例えば、被相続人に借金があれば当然返さなければなりませんので、債務も相続されます。

相続の始まる時期

人が死亡すると相続が始まりますが、相続人が被相続人の財産を受け始めることを「相続の開始」と言います。

そして、一言で「死亡」といっても日本の法律では2通りの意味があります。

(1)自然死亡

病気やケガが原因で死亡することを言います。特別な場合を除いて死亡した瞬間から相続が開始されます。

(2)失踪宣告

7年間生死が不明の時、また、危難に遭遇(戦争・船の沈没等)した人は1年間生死が不明である時は利害関係人(相続人等)が家庭裁判所に請求すると死亡したとみなされ、相続が開始されます。

このように相続は、誰が、いつから、何を相続できるかを法律で予め決めています。 

相続遺言

相続する順番

人が死亡すると特別な場合を除いて誰かが必ず相続します。しかし、相続をする人は複数人いる場合が通常ですので、法律で予め誰が何番目に相続するかを決めてあります。

相続人の種類と順位

(1)血族相続人

血族相続人とは、被相続人と血縁関係にある親族のことで、相続できる順位が決まっています。次に順位を記しました。

(ア)第1順位:子

被相続人の子、つまり故人の子が1番目に相続人となります。尚、養子でも同じです。

(イ)第2順位:直系尊属(ちょっけいそんぞく)

被相続人の直系尊属、つまり故人の父母や祖父母等が2番目に相続人となります。

(ウ)第3順位:兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹、つまり故人の兄弟姉妹が3番目に相続人となります。

(2)配偶者

配偶者(夫や妻)は常に相続人となれます。これは生き残った配偶者に生活保障をしてあげようという法的な配慮からです。しかし、内縁の配偶者(愛人等)は原則的には相続人とはなれません。

代襲(だいしゅう)相続

(1)意味

人は生まれた順に死亡するとは限りません。例えば、被相続人には子がいたが、子が先に死亡していた場合、その子の子、つまり被相続人から見て孫が相続することになります。これを代襲相続といいます。

(2)代襲相続できる人

被相続人の孫・ひ孫・やしゃごの順で相続されます。もし孫が死亡していればひ孫が、ひ孫が死亡していればやしゃごが、とういう順番で相続されます。

また、被相続人の兄弟姉妹の子も相続できます。つまり、故人から見て甥や姪があたります。

(3)代襲相続できない人

被相続人の直系尊属、つまり故人の父母や祖父母が代襲相続できません。

このように、法律では様々なケースを想定して、トラブルを防ぐために誰を何番目に相続させるかを予め決めてあります。

遺言でできること

人は誰でもいつかは必ず死に至ります。そして、大方の人は生存中に財産を築きます。その財産を自分が死んだ後に誰かに仲良く分かち合って欲しいというのが亡くなった人の本音でしょう。

しかし、仲の良かった兄弟同士が親の遺産をめぐり骨肉の争いが生じた、というような話を聞く時があります。そのような争い事を事前に防止するために、遺言という制度ができました。

遺言でできるこは以下の通りです。

(ア)後見人を指定すること

例えば、自分に未成年の子がいるが、自分の死期が近づいており死亡した後に子が1人で1人前に育ってくれるかどうか不安であるとします。そういう時に備えて「後見人(こうけんにん)」という制度を作りました。「後見人」とは、未成年の子に対して親の

代役をやってもらう人のことです。その後見人を誰にやってもらうかを自分で決めることができます。これを、「後見人の指定」といいます。

(イ)遺産を分割する方法を指定すること

死亡した人には財産が複数あるのが一般的です。そして、財産を受ける人も複数人あるはずなのでその財産を誰にどれだけ渡すかを死亡前に決めておくことができます。例えば、「長男に2分の1、二男と三男に4分の1ずつ相続する」という遺言が遺産分割です。これを「遺産分割方法の指定」といいます。

そして、この長男・二男・三男のことを「共同相続人」といいますが、遺産分割の遺言がなければ話し合いで誰がどれだけ相続するかを決めることができます。これを「分割協議」と言います。この分割協議は、前の例で言うならば長男・二男・三男の全員で話し合わなければなりません。1人でも欠けた協議は無効です。

このように、遺言は故人の最期の遺志を尊重しつつ、遺言でできることを予め決めてあります。   

遺言の歴史

日本には民法という法律の中に遺言という制度があります。各国の遺言の制度がどのようにしてできたのかを歴史を見ながら説明します。

日本の遺言の歴史

日本では、757年に藤原仲麻呂によって制定された「養老律令」の中に遺言の制度が書き込まれていました。内容は、死者が所有していた土地・金銭・奴隷を近所の人がどれくらいあるか調べます。そして、奴隷以外の財産を寺社に納めるというものでした。

また江戸時代になると、武家階級での遺言は俸禄等の米や金銭は遺言に記載できない事になっており、土地や家だけの普通財産だけが遺言できるようになっていました。

そして明治に入り、フランス民法を基本に明治23年にいわゆる「旧民法」が法制化され、さらに明治31年にドイツ民法を基本に現在の民法が法制化されて今日の遺言の制度ができました。

外国の遺言の歴史

外国では、紀元前5世紀頃の古代ローマ時代に「十二表法」という法律で遺言が法制化されていました。そして遺言と認められるためには、誰に相続させるかを明記しなければなりませんでした。また、相続人がいない場合は父方の最も血の濃い者が相続するというものでした。

そしてこの遺言の制度は、金銭や物を遺言として記すことはもちろんですが、「身分」を記せば身分をも受け継ぐことができました。例えば、故人が教師であれば相続人も教師になれます。

同じくヨーロッパのフランス・ドイツでは12世紀頃に教会の勧めにより遺言が慣習化されるようになりました。当時は法制化されていませんでしたが、次第に法制化されるようになりました。

このように、遺言の歴史は各国の慣習の違いから様々であるので、当然遺言できる内容も違ってきます。

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